人権展とは
今から約40年前に、浪速区と大正区内の境に架かる橋で差別落書き事件が発生しました。
この事件をきっかけに、地域住民による人権啓発活動が活発化し、毎年開催される「人権展」へと発展しました。
よりよい社会をめざす人々の願いが込められた取組です。
人権はなんで大事なの?
人権とは、人が生まれながらにして持っている基本的な自由と権利です。すべての人が幸せな人生をおくるために欠かすことができないものであり、現在だけでなく将来にわたって保障されるべき権利です。人間が人間らしい生活をするうえで保障されるべきものが人権です。
「人権」という考えが確立したのは、18世紀の西欧からでした。その当時の人権意識はアメリカの独立やフランス革命にみられるように、政治的平等の理念であり、自由権と参政権の確立が主張されていました。しかし、その当時の「人」には、女性や子ども、人種が異なる人等は入っていませんでした。
20世紀にはいると、社会保障や労働者の権利など各種の生存権や社会権の主張が見られます。第二次大戦が終わり、1948年の国連総会で「世界人権宣言」が採択されました。2度にわたる世界戦争による基本的人権の侵害を反省し、世界平和の維持と人権の尊重は一つのものとして考えることになりました。
1966年には、この世界人権宣言を受けて、法的に守るべき人権の内容を具体的に定めた「国際人権規約」が採択されました。10年後の1976年に発効実施されました。日本でも、この「規約」を1979年に批准しています。1948年の国連総会で「世界人権宣言」が採択されたのが12月10日なので、「世界人権デー」と決まりました。
1950年には、毎年12月10日に記念行事を行うことが決議されています。
「人権展」開催への足跡
1983年2月21日、浪速区と大正区の境を流れる木津川に架かる大浪橋の橋梁に、差別落書きが書かれているのが市民の通報によって発見されました。
差別落書きの書かれていた大浪橋は車両や人の通行量も多く、人目につきやすい場所でした。このような場所にもかかわらず5ケ所に差別落書きが書かれていたということは、計画的な犯行であり、内容も同和地区住民の「人格」のみならず「生存権」をも否定するもので、極めて悪質な人権侵害事件でした。
この大浪橋差別落書き事件を機に、同和問題に対する理解と認識を深めるため、1984年3月に「人権展」が、また1985年2月に「ミニ人権展」が開催されました。1985年12月には浪速、西、港、大正の4区役所と4区の人権啓発団体、浪速同和教育推進協議会、大阪西企業同和問題連絡会、労働組合など幅広い団体等で組織した「浪速・西・港・大正地域人権展実行委員会」により「‘85なにわ人権展」が開催されて以降、毎年開催しています。その後、4区の人権に関する取組を一層推進するため、1994年9月には4区の人権啓発推進協議会で区民宣言が採択されました。2012年以降は、主催者を浪速・西・港・大正地域人権展実行委員会から4区役所とし「『人権展』・『人・愛・ふれあいプラザ』協力者会議」の協力を得て、毎年、人権展を開催しています。
「合理的配慮」って?
障害者差別解消法が2024年4月に改正され、事業者の合理的配慮が「努力義務」から「義務」となりました。
合理的配慮とは、障がいのある人が、健常者と同じように社会生活を送れるよう、過度な負担なくできる範囲で配慮することです。例えば、車いすを使用する人が建物に入ることができるようにスロープを設置したり、聴覚に障がいのある人に手話通訳を提供したりすることが挙げられます。
改正前は、合理的配慮は「努力義務」でしたが、今回の改正で「義務」となりました。つまり、事業者などは、障がいのある人からの合理的配慮の要求に対して、積極的に対応することが求められるようになりました。
この改正により、障がいのある人の社会参加促進(障がいのある人が、仕事や教育、社会活動など、様々な場面で活躍できるようになる)や、多様な人材の活用(企業は、障がいのある人たちの多様な能力を活用することで、イノベーションを促進できる)、インクルーシブな社会の実現(社会全体が、障がいのある人も含めて、誰もがいきいきと暮らせる社会へと変わっていく)といった効果が期待されています。
区長ごあいさつ
人権展主催4区(大正、浪速、港、西)の区長より人権展開催に向けたメッセージです
古川 吉隆 (ふるかわ よしたか) 大正区長
SDGsの理念に基づき「誰一人取り残さない」社会の実現に向け大正区では「健康で安心して暮らせるまち「大正」をめざして施策を推進しています。大正区では、障がい者手帳の所持者数も年々増加しており、何らかの支援を必要とする人が増えています。区民の方も障がい者の人権について関心が高いことから「障がいのある人の人権」を今年度のテーマの1つとしました。今回の人権展では、講演会など会場型の啓発と特設ホームページ等での取組を合わせて展開しています。人権について考えるきっかけにしていただければと存じます。
区民の皆さまがこの人権展を通じ、多様性からくる視点の違いなどを理解し、SDGsに掲げる人権が尊重される社会の実現に向けて、一歩踏み出していただくことを期待します。
幡多 伸子(はた のぶこ) 浪速区長
今回の人権展では「SDGsいのち輝く未来に向けて お互いを尊重し合う社会の実現のために」をテーマに、ブレイキンを通じて多様な表現に触れ、人それぞれが持っている才能や個性、考え方を学んでいきます。
自分を大切にし、相手も大切にできること。それが社会を変えていく第一歩となり、誰一人取り残さない、誰もが自分らしく輝ける社会づくりにつながります。「第40回たいしょう人権展」が、改めて人権について考える機会、人生をより豊かなものにする新たな出会いの場となることを願っています。
山口 照美 (やまぐち てるみ) 港区長
港区では、「未来と世界にひらくまち・港区」を合言葉にまちづくりを進めるとともに、未来志向で、多様性を尊重しあう共生社会づくりに向けて、人権啓発活動に取り組んでいます。
主な取組みとしましては、LGBTQの当事者や理解者・支援者の方々と共に、区における啓発事業等を話し合う“レインボーカフェ3710”を毎月第4火曜日に開催しています。
また、本年6月より、大阪・関西万博に向けて増加する外国人観光客の避難誘導対策として、「おもてなし防災プロジェクト~“守る”という、おもてなし~」を立ち上げました。(詳細は港区HP)
高齢者や障がいのある方も含め、「ひとりも取りこぼさない」防災をめざしています。
今後も、皆さまのご理解とご協力を賜りながら、これらの市民協働・公民連携による活動を推進してまいります。この人権展が、皆さまにとって多様な価値観に触れる機会となりますよう、ぜひご参加をお願い申しあげます。
三村 浩也(みむら ひろや)西区長
これまで西区では、西区人権啓発推進協議会、大阪市人権啓発推進員西区連絡会、大阪市企業人権推進協議会西区支部等と連携し、差別や偏見のない、人権尊重のまちづくりの実現をめざして、西区民まつりの開催日に合わせて「西区人権フェスタ」を開催するなど、取組を行ってきました。
今後も、区民の皆さんが人権課題を自らの課題として取り組めるようなきっかけづくりとなる事業を実施してまいります。
最後に西区がめざす差別や偏見のない人権尊重のまちづくりの推進は、SDGs達成のための大切な要素であり、2025年4月開催の大阪・関西万博の理念もSDGsの達成をめざすものですので、万博の取組に対するご理解・ご協力もあわせてお願いいたします。