淀川区まちづくりセンターの宮脇優子アドバイザーに淀川区のまちづくりについてインタビューしました。
宮脇優子 みやわき ゆうこ
淀川区まちづくりセンター アドバイザー 平成25年東成まちづくりセンター支援員、平成26年淀川区まちづくりセンター支援員、
平成30年より現職。
淀川区の歴史 今の淀川区は古代には大阪湾の海中にありました。淀川などの河川が運ぶ土砂が堆積し、加島・中島・姫島など「難波八十島」と呼ばれた小島を中心に陸地が生まれました。江戸時代には加島に幕府の銭座がおかれ、「酒は灘、銭は加島」と言われました。東京オリンピックを機に新幹線「新大阪駅」が開業して、田畑や蓮池があったのどかな町は激変し、現在では副都心と呼ばれるまでに発展しています。
Q 今、特に力を入れていることは何ですか?
地活と企業・NPO・専門学校との連携です。
もともと淀川区には面白い活動をしている人たちがたくさんいます。民間の地域広報誌もあり、地道な取材を重ねられておられます。それぞれの活動者が連携をとりながら地域活動する土壌がしっかりあるんです。
それと、専門学校が多いのも特徴の一つです。ここ数年、地域でのイベントに専門学校がブース協力してくださっています。
まちセンでは、平成27年から「よどまち未来セッション」を開いています。区内で活動している方々が地域や立場を超えて“淀川区の未来”を語り合い、その実現をめざす場です。個々のネットワークが強固な淀川区の土壌に、区内の企業や専門学校が加わり、毎回テーマを変えてワークショップを行っています。
まちセンの役割は、出会いの場を作り、そこで生まれたことを地域活動協議会に還元することだと思っています。小さな積み重ねが実り始めています。
現在、まちセンでは地域のネットワークの“見える化”に取り組んでいます。地域活動に関わる個人や企業・NPO・専門学校、どことどこがつながり何を行っているかなど、データベースを作り始めました。
数年前までよそ者は地域活動に来なくていいという雰囲気もありましたが、今では隣の地活の成功を見て「うちにも来てほしいな」と言われます。
まちセンが続く限りマッチングを図っていきますが、今後のためにも、培ってきた人脈や経験の情報を一元化して誰でもアクセスできるようにしておくことが必要だと思っています。
Q 今までで一番評価できることは何ですか?
「加島買い物支援事業」を実現したことです。大阪市でも先駆的な取組みだと思います。
淀川区の西端にある加島は高齢者が多い地域です。地域内にはスーパーが1店舗しかなく、遠くまで歩けないお年寄りは買い物に困っていました。加島地活の会長から相談を受けたまちセンの井川支援員は、出張販売ができないかお店や企業に当たりました。
同時に、高齢者が多い市営住宅内での営業を認めてほしいと大阪市建設局に掛け合いました。前例がなく許可が下りるのには時間がかかりましたが、区と協働して販売業者も公募で募り、一つひとつハードルを越えながら、1年がかりで実施にこぎつけました。
この事業も2年目となりました。コープこうべが毎週5ヵ所で食料品の販売を行い、新大阪センイシティー協力店は年2回の衣替えの季節に衣料品を販売しています。地域の方は出張販売に喜ばれているのはもちろんのこと、この場がおしゃべりや見守りの場にもなっています。
外出する機会も増えたようです。玄関先まで届けてくれる宅配もありますが、待っているんじゃなくて、家を出て、お店の品物を見て、自分で選ぶ。大げさかもしれませんが、これって「人の権利」だと思うんです。高齢者の尊厳、というか。“選べる”ということはすごく楽しいことですから。
「加島買い物支援事業」の記事はコチラ。【淀川区×コープこうべ】買い物難民を救え
おまけ
宮脇さんの弱点は?
―実は人前で話すのが苦手で腰が痛くなるんです。
まさか。緊張しているようには全く見えません。
―よく言われます…。
取材・文:梶原千歳
イラスト:阿竹奈々子
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